病院や介護現場で「塗り絵」を活用しよう

ぬりえを活用した認知症予防・リハビリ効果を解説!患者とスタッフのメリットを紹介し、介護現場でぬりえの活用を提案します。 お役立ち情報
塗り絵の効果 介護と知育のプリント館

〜認知症予防・リハビリ・心のケアに効果的な取り組み〜

病院や介護施設では、患者さんや利用者さんの心身機能の維持向上を目指し、さまざまなリハビリテーションやケアが行われています。
その中でも「塗り絵」は、手軽に始められ、しかも多方面にわたる効果が期待できるアクティビティのひとつです。
今回は、塗り絵の持つ力と、その活用法についてご紹介します。

認知症予防に効果的な「塗り絵」

塗り絵は、脳の活性化に非常に有効です。
色を選び、形を意識し、手を動かして塗るという作業は、視覚・記憶・判断・運動といったさまざまな脳領域を刺激します。

また、桜や季節の風景、昔なじみのあるモチーフなどをテーマにした塗り絵に取り組むと、「あの頃はこんな場所に行ったな」「子どものころ、家族でお花見に行ったな」といった思い出が自然に呼び起こされます。
この「想起する力」を引き出すことが、認知症の予防や進行抑制にとても大きな役割を果たします。

手指のリハビリにも最適

塗り絵は、手や指を使う巧緻動作(こうちどうさ)を促します。
細かな範囲を意識してペンを持ち、色を塗る動きは、筋力の低下や関節の拘縮(こうしゅく)予防に役立ち、脳卒中後のリハビリにも効果が期待できます。
楽しみながら自然にリハビリができるため、無理なく続けやすいのも大きな魅力です。

ストレス発散・心の安定にも

塗り絵に集中することで、余計なことを忘れ、リラックス効果が得られます。
特に入院生活や施設生活では、環境の変化によるストレスが大きくなりがちですが、塗り絵はそのような心の負担を和らげ、気持ちを落ち着かせる助けとなります。

さらに、完成した塗り絵をスタッフや周囲の方にほめてもらうことで、
・「認められた」という満足感
・「まだ自分にはできることがある」という自信
・「またやってみよう」という意欲
が生まれ、自尊心の維持にもつながります。

他者とのコミュニケーションの促進

塗り絵は、一人で取り組むだけでなく、周囲との会話を生み出すきっかけにもなります。
「どんな色にしたの?」「きれいだね」「次は一緒に違う絵も塗ろうか」
このような小さなやりとりから、患者さん同士やスタッフとの自然なコミュニケーションが生まれます。
孤立感を防ぎ、心の健康を支える重要な役割を果たしてくれます。

積極的な離床で昼夜逆転・廃用症候群予防

病院や介護施設では、ベッド上で過ごす時間が長くなることによる廃用症候群(身体機能の低下)や、昼夜逆転が大きな問題となります。
塗り絵を活用して座位姿勢で作業をすることで、

  • 積極的な離床
  • 日中の活動量アップ
  • 自然な疲労感から夜間の良質な睡眠促進
    といった効果が期待できます。

小さな「座って塗る」活動が、健康寿命を支える大きな一歩になるのです。


おわりに(介護と知育のプリント館 管理人の思い)

高齢の患者さんや利用者さんが、塗り絵のような興味を持てる活動を通して積極的に離床することは、スタッフと患者さん双方にとって大きなメリットがあります。

ただベッドから起こして座らせるのではなく、塗り絵など集中できる作業に取り組むことで、自然な形で離床が促進され、身体機能の維持・向上につながります。
また、昼夜逆転を防ぎ、日中にしっかり活動することで、夜間の良質な睡眠を確保できるようになります。結果として、不穏な行動が減り、スタッフの夜間業務負担の軽減にもつながるでしょう。

さらに、塗り絵を通じて患者さんや利用者さんと自然にコミュニケーションが生まれ、信頼関係が深まることで、スタッフ自身も日々の仕事に楽しさややりがいを感じられるはずです。

介護と知育のプリント館では、そんな現場での小さな取り組みを、心から応援しています。
皆さまの毎日が、少しでも明るく、楽しくなるお手伝いができれば幸いです。

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